バラナシ旅のプランを練るために、まず街の予習をしましょう。
バラナシってどこにあるの?
Googleマップからのスクリーンショット
バラナシ(Varanasi)は、インド北部に位置する首都デリーのお隣、ウッタル・プラデーシュ州という地域の一番東の街。デリーとバラナシ間のフライトによる直線距離は約680km、陸路だと800km~870kmほどです。日本でたとえるなら、東京と広島の距離感(直線で680km)に近いイメージ。
街は、ガンジス川に沿って南北に約20km、東西は8~12kmのくびれた形をしています。最寄りの空港は、街を出て北西にあるラール・バハードゥル・シャーストリー空港です。空港から川の近くまでは、日中なら道が混んでいるため1時間ほどかかります。夜は渋滞がほぼないので30分。Uberが使用でき、料金は700~800ルピー(1,200~1,400円)程度です。
日本からバラナシにはどうやって行く?
2025年時点で、日本からバラナシへの直行便はありません。必ずどこかを経由します。日本からバラナシへの行き方でもっともシンプルな空路は、日本(羽田)→ デリー → バラナシ。あるいは、日本(成田)→ ムンバイ → バラナシ です。
日本からインドまでは、羽田と成田からデリーまでJAL、ANA、エア・インディアによる直行便で行けます。フライト時間は10時間ほど。ANAとエア・インディアは成田からムンバイまでの直行便も運行しています。成田からムンバイの時間は11時間弱。
東京以外の空港からインドには、香港、バンコク、シャンハイなどを経由して各都市に入ります。
インド国内の主要な空港からバラナシは、インディゴ(IndiGo)をはじめ国内線で簡単に移動できます。デリーからバラナシには1時間半ほど。ムンバイからバラナシには約2時間半。バンガロール、ゴア、チェンナイ、そのほか多くの都市からバラナシへのフライトが出ているため、数日観光してからバラナシに移動するプランも良いでしょう。
バラナシってどんな場所?
バラナシはインド最古の聖地、歴史的古都です。ヒンドゥー教が暮らしに溶け込むスピリチュアリティあふれる街。観光者にとって、日本でたとえるなら京都のような歴史と伝統を感じられる場所。でも、1000倍はカオス。
バラナシの歴史と宗教的な重要性
バラナシは、ヒンドゥー教徒にとって最も神聖な都市の一つです。紀元前1200年頃にはすでに存在していたとされ、「世界で最も古い継続的に人が住む都市」としても知られています。ヒンドゥー教の最高神の一柱であるシヴァ神と深い関わりがあり、「カーシー(Kashi)」という別名でも呼ばれています。
バラナシを訪れることは、多くの信者にとって「人生の究極の目的」とされ、ここで死を迎えると輪廻から解脱できると信じられています。
ガンジス川とバラナシの神聖なつながり
バラナシを象徴するのが、インドの母なる川「ガンジス川(Ganges River)」です。
ヒンドゥー教徒にとって、ガンジス川は「聖なる母」とされ、川で沐浴をすることによって罪が洗い流されると信じられています。毎日早朝から多くの人が沐浴を行い、ガート(川沿いの階段)には祈りを捧げる巡礼者が集まります。夕方になると、アールティーと呼ばれる神聖な儀式が行われ、神秘的な雰囲気に包まれます。
インドの文化が息づく街並みと暮らし
バラナシの街は、細い路地が迷路のように入り組んでおり、牛やリキシャ、巡礼者が行き交う賑やかな光景が広がっています。
古い寺院やシルク工房が点在し、街全体が歴史と文化に満ちています。市場では色鮮やかなサリーやスパイス、伝統的なスイーツが並び、観光客にも人気があります。
バラナシ旅の基礎知識
バラナシ旅行を助ける基礎的な豆知識をご紹介します。
言葉は?
バラナシの公用語はヒンディー語です。第二言語としてボージュプリー語も使われます。またウルドゥ語を話す人々もいます。ですが、街中では基本的に英語で問題ありません。地元の商店やリキシャの運転手は英語が苦手な場合があるため、基本的なヒンディー語のフレーズ「ナマステ(こんにちは)」「キトナ ハイ?(いくらですか?)」などを覚えておくと便利。
インドは多言語国家です。国内では23の言語が公用語として定められていて、州や地域ごとに異なります。たとえば、南インド、タミル・ナードゥ州はタミル語を用います。北インドのゴアではコンカニ語が公用語。
タミル・ナードゥ州のチェンナイを訪れた際に出会った現地人は、「ほかの州の人が話している言葉は聞き取れないし、文字を見ても何と書いてあるか意味が分からない。ほかの州は、外国のようなもの」と話していました。
そういった多言語の事情から、英語が第二の公用語として定められています。
気候は?
バラナシは四季があります。夏(3月~6月)は非常に暑く、特に4~6月は気温が40℃を超えることもあります。冬(11月~2月)の日中は20℃から30℃のあいだで温かいのですが、夜は10℃前後まで下がります。夜中に出歩くことはほとんどないと思いますが、この時期は薄い上着があると重宝します。
もう一つ重要な点は、バラナシは雨季と乾季でガンジス川の水量がまるで異なること。雨季は、増水によって河岸のガート(階段上の沐浴場)がほぼすべて濁った水に浸ります。反対に乾季は水が減ってガートがあらわれて、多くの人々がご祈祷や沐浴をしています。また、乾季は川のまん中の浅いところが砂地となり、ボートで上陸してここで沐浴もできます。
雨季は4月から10月ごろまで、乾季は11月~3月。ずばり、最適な旅行時期は乾季です。
時差は?
バラナシと日本の時差は「3時間30分」で、日本が進んでいます。日本が正午の場合、バラナシは午前8時30分です。インドはサマータイムを採用していないため、年間を通して時差は変わりません。
通貨は?
インドの通貨はルピーです。1ルピーの日本円換算額は、2025年時点で1.70~1.80円ほどで推移しています。
両替は、空港、銀行、市内の両替所、ATMで可能です。バラナシではATMが少ないため、空港やデリーなど大都市で両替しておくのがおすすめ。クレジットカードは観光地や高級レストランで利用できますが、街の屋台やリキシャでは現金が必要なので、小額紙幣を準備しておきましょう。
衛生は?
衛生面に関しては、日本の感覚は一旦忘れましょう。空は砂ぼこりが立ち込め、車とバイクとリキシャのクラクションが常に鳴り響いています。道には往来する牛の糞も落ちています。水は、一般的に言われているように水道水を飲むのは控えてください。必ず市販のペットボトルを飲用しましょう。屋台でも寺院でも虫がたくさん飛んでいます。それがバラナシの日常。日本との違いをご堪能ください。料金が安めのゲストハウスは地元の雰囲気ですが、一方で観光者のためのホテルは普通にキレイでした。
治安は?
治安は、決して手放しで安全とは言えません。旅行者を狙う詐欺やひったくりも多発しています。特に夜に女性一人で歩くのは絶対にやめてください。男性でも自衛の意識は大事です。空港のタクシー乗り場からさっそく「タクシー!タクシー!」とアグレッシブにドライバーの兄さんたちが声をかけてきます。ガンジス川の周辺でも、土産屋のオッサンたちが「コンニチハ!ドコカラキタ?」と日本語で話しかけてきます。ニセモノの僧侶が一緒に写真を撮ってご祈祷代を請求してきたり、花売りの子供が寄ってきたりと、イベント盛りだくさん。これらにうまく対応しましょう。
幸いなことに、私は一人でホテルから川に向かう道中、たまたま仕事の休憩中だった日本語を話せる旅行ガイドの人と出会いました。彼らのサポートのおかげで旅が何倍も良い体験になりました。
このほかの豆知識は、旅の準備と豆知識で詳しく説明しています。
バラナシ旅の楽しみ方
バラナシには、ガンジス川沿いのガートの散歩、ガートで瞑想、ヨガ体験、川での沐浴(チャレンジしたければ)、ヒンドゥー寺院の参拝、地元食を味わうなど、いろいろな楽しみ方があります。そのどれも、頭をカラッポにして感じることが大事だと感じました。
固定観念をはずして、現地の人々が育んできた文化・思想・精神性を全身で味わってください。日本で凝り固まった思考が強いほど、強烈なギャップを体験できると思います。